第24章 *Happy Birthday 9/11*〜小金井慎二〜
香奈side
「お前ん家、今日親が出張してて一人なんだろ?」
マンションの隣の部屋の住人で私の彼氏の小金井は、さも当然のように、私の考えてることを当ててみせた。
親同士も仲良いし、当たり前と言っちゃ当たり前だけど。
「俺の部屋親いるし、話はしてあるから、俺の部屋に先上がってろよ!じゃあ俺、部活行ってくるね!」
いつもこういう日は小金井の家にお世話になってるから、こういうやり取りももう慣れた。
…けど、今日だけは小金井の制服の袖を掴んで、引き止めた。
手に触れるなんて大胆なこと、できないから。
「…香奈?」
「こ、小金井の親には話しとくから…わ、私の部屋、来てもいいわよ…?」
こういう時「来て」と言えない私だけど、そういうこともちゃんと、小金井はわかってくれる。
「本当!?珍しいな!じゃあ、お世話になるかな〜。」
「ま、待ってるから…。遅かったら、寝るからね!?ほら、これ、合鍵!」
鍵をかけずに小金井を待つと、危ないからって怒られたことがある。
なので、こういう日は合鍵を渡していた。
「ん、ありがと!部活終わったらダッシュでいくから!そんじゃ〜!」
そう言って、小金井は体育館へと走って行った。
「…帰ろ。」
誰に言うわけでもなく呟いて、私も家に帰ることにした。