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美しき銀の刃

第9章 悲しき彼女の悪夢


「出陣準備!!人数確認をせよ!」

姉さんが中央に立って指示をしている。

さすがはリーダー。その姿がかっこよくて、つい見とれてしまう。

「快援隊!」
「隊士は全員そろってます!隊長がいません!」
「鬼兵隊!」
「こちらも、隊士はそろっていますが、隊長が見当たりません!」
「…一番隊!」
「俺達も同じです!」
「特攻隊!」
「…以下同文!!」

姉さんがわなわなとしている。

「……んの馬鹿野郎達!!こんなときにどこにいるのよ!一発ぶん殴ってやる!」

怒りをあらわにしているのと同時に、少し焦りを感じた。

「あの…緑様。」
「あん?!!」

少しおびえた顔で隊士の一人がぽつりと言った。

「……隊長達なら、もうとっくに戦場に行きました。第一発見者は隊長達です。」
「あっそ、で?」
「へ。」

…姉さん、で?はないでしょう。

姉さんは話を続ける。

「だからどうしたっていうの?あいつら、私を置いてまた勝手に行っちゃったんでしょ?やっぱぶん殴る。」
「そ、そっすか。」

隊士達は少し呆れ顔だ。

…素直じゃないですねい。

俺はわかるんだぜ、姉さん。

あんたは心配してるんでしょう。

自分のことなんて、考えもしないくせに。

「…じゃあ話は早いわね。みんな、準備はいい?!」
「はいっ!」
「死ぬ気でかからないと、死ぬわ!戦場に遺骨を置く気持ちでとりかかるのよ!!」
「はいっ!!」
「じゃあ…。出陣だぁ!!コノヤロー!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

そして隊士達は一気に門からでた。

先頭はもちろん姉さん。

俺達は特攻隊にむかった。

むかう途中でたくさんの死体を見た。

そしてその近くで暴れまわってる奴らを。

『狂乱の貴公子』桂小太郎
『鬼兵隊総督』高杉晋助
『桂浜の龍』坂本辰馬
そして。
『白夜叉』坂田銀時

いずれもまるで人間離れをした戦いっぷりだ。

俺もチャイナも新八君も。

特に旦那を見てしまった。

旦那は現在ではあんまり真剣は使わない。

ここでは、平気で天人達を斬っている。

しかし、それは楽しそうにではなく、悲しそうに。

俺達も、斬るしかないと覚悟を決めて、斬りかかった。
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