第8章 意外な男
俺が唖然としてると、副提督が副隊長の前までやってきた。
「おいおい、かちんこちんじゃねーか!」
「う、うるせえ!」
ニヤニヤとからかっている。
「へ?副隊長さん、何かあったんですか?」
その言葉に、副提督が新八君のほうを見る。
「いや、実はな、こいつ…。」
「わああ!!やめろって、兄貴!殺すぞ!!」
俺、もうわかってんだけど。
「副隊長は緑さんのこと好きなんですよねい?」
つい、そういってしまった。
副隊長は耳まで真っ赤にしている。
「ええ!そうなんですか?!副隊長!」
「ワオ!意外アルう!!」
チャイナや新八君も驚きを隠せないようだった。
「いやあ…ははは。」
もう、顔も隠せないから、おとなしく白状した、というかんじだろう。
「まじこいつ、緑さん狙って副隊長に志願したんだよなあ?」
副提督はからかうのが好きなようだ。
「う、うるせえ!兄貴は黙ってろよ!!」
これで二回目だ。
「でも、可能性はありますよ!じゃんじゃんアタックすればいいじゃないですか!」
新八君は背中を押している。
「そうアル!みーちゃん男運ないから、チャンスはめぐってくるアル!」
チャイナまで応援する始末だ。
「……いやあ、今はするつもりはねえよ…。」
「「ええええ~!」」
二人ともがっかりという感じだ。
「…戦争終わったらよ、もし、この戦争が終わったら、俺はあの人に告白するって決めてんだ。だから、それまで絶対死なないで、あの人を護ろうと思ってる。」
ひゅーーーと、三人が言う。
また副隊長が顔を赤くした。
……しかし、現代で、彼はいるのか?
わからない。
そういっていると、道場にあわただしい足音が聞こえてきた。
「も、申し上げます!!」
そういって入ってきたのは、汗でびっしょりの隊士。
「ん?どーした。」
姉さんがすぐさま反応する。
「現在、我々の陣地まで、天人が兵を動かしております!!すぐに隊士達を門へ集め、応戦せよとの命令です!!」
その場にいた全員の体が固まったのを空気で感じた。