第3章 己の中の魂
~山崎SIDE~
「姉…貴…?」
影から見ていた俺は、つい息をのむ。
あの姉貴が、旦那と並ぶくらい強かった姉貴が。
―あんな卑怯なやり方で――――
「と、とりあえず、あいつらのアジトはもうつかめてたし、姉貴助けるのも、時間の問題…。」
今助けたいが、俺は副長や隊長みたいに強くない。
「姉貴、待っててください、助けに…」
「助けに行きますって言いたいのか??」
やばいと思った時にはもう遅かった。
振り向いたとき、振り下ろしてきた刀をよけきれずに腹に直撃した。
「ぐっ…。」
「真撰組かあ~?情けないねえ~、まあ、このまま死ねや。」
そういわれていたときには俺はそこから離れていた。
激しい痛みに耐えながら走る。いや、正確には腹を思いっきり抑えながらの早歩きだ。
「てんめえ…、おい!早くそいつをやっちまえ!」
リーダーであろうものが叫んでいる。
それはかなりうしろだったが。
~土方SIDE~
屯所内が騒がしかった。
なぜか。それは今日来たあいつのせいだ。
「姉御まじ可愛くね?」
「可愛いっていうか、美しい!」
「なんかよお、天使って感じだよな。」
「旦那のとこにいるのがありえねえ。真撰組にきてくれたらいいのになあ~!!」
「お前ら、修学旅行生かあ!!!」
そのツッコミに驚いて逃げて行った。
「ったく…、なんであいつがあんなに人気なんだよ。」
「彼女は誰からも愛される感じだからな。」
後ろから近藤さんの声。
「……まあ、俺も嫌いではないな。」
「ほ~れ。」
「ちゃかすな。…あいつ、嘘とかつかねえだろ。」
そういってると、門のほうから人影がでてきた。
それは次第にゆっくりなっていき、そして門をくぐると崩れた。
「あいつ…。」
「山崎か!?」
近藤さんが急いで駆け寄る。俺もその後ろに続いた。
「おいっ!山崎!!」
「局……長……。」
そういうと山崎は気絶した。
俺達は急いで部屋へ行った。