第3章 逃走と淫紋
―――翌日、ベッドの中で目を覚ました。
昨日の記憶が曖昧……昼間から犯されて、産み付けられて、出産して……それから白月さんにも犯されて……だめだ。そこからの記憶が無い。
重い身体を起こしてリビングに行くとにこやかに笑う白月さんの姿があった。
「おはようございます、琴美さん。昨日は沢山えっちしましたね……ふふ、私を求める琴美さん、可愛らしかったですよ。やっと結ばれ―――琴美さん?」
沢山えっち……?
自分が、白月さんを求めた?
何を、言って……自分は怖くなり、その場から逃げ出した。急いで靴を履き、外に飛び出し無我夢中で走る。
道行く人達が自分を変な目で見てくる。けれどそんなものどうでもよかった。早く、早くもっと遠く逃げなければ。
人気のない路地裏。
自分は誰もいないことを確認し、ズボンと下着を一気に下ろして秘部に指を突っ込み必死に中に出された精液を掻き出した。
「いや……いやだ……」
必死に掻き出していると、背後からぎゅうっと抱きしめられる。思わずひゅっと喉が鳴る。
「こんな所で何をしているんです? 琴美さん」
「し、白月さ……あ、や……離しっ……」
「離しませんよ。なぜこんなことをするんですか? 昨夜はあんなに私を求めてくれたではありませんか」
冷たい白月さんの声。
でも本当に記憶に、無い。
「記憶にありません……っ」
そう言って振り払い後退る。
すると白月さんが冷たい笑みを浮かべながらゆっくりゆっくり行き止まりまで追い込んでくる。
とん、と壁に背中がぶつかる。
「そうですか……貴女は私の心を弄んだのですね」
「そんなつもりは……」
「でしたら、どうして私の愛を否定するような行動を取ったのですか? 貴女の中に出した私の愛を掻き出そうとするなんて」
優しくも冷たい声が突き刺さる。冷や汗が頬を伝う。
カタカタと身体が震える。何をされるかわからない恐怖が最高潮に達し、自分は大人だというのにおしっこを漏らしてしまった。
ちょろちょろと流れるおしっこを眺める白月さんは何かを思いついたかのようにくすりと笑った。
「あぁ、穴はもうひとつありましたね」
「え……?」
「尿道、ですよ」
そう言うと白月さんは本当に細長い触手を取り出した。