第14章 To Be Continued…
「ただいま〜」
誰もいない一人暮らしの家に、すっかりただいまを言うのが癖になったまま帰宅した私。
仕事用のカバンを下ろし、今日も忙しかったけど楽しかったな〜とドズルさんが見せてくれた赤いハイビスカスを思い出してると、ジリリリ! と突然目覚まし時計が鳴る。
「え、なんで?!」
と思いながらも寝室に向かい、私は目覚まし時計を止めようとして一瞬足が止まる。
……なんかいる。
とりあえずうるさい目覚まし時計を止めたが、そこにいる「なんか」は忙しなく飛び跳ねている。人間や虫ではない。
緑の丸い何かだ。
例えるなら、そう、旅行先のお土産として有名なマリモみたいなもの。体がうっすらとしているから間違いなく幽霊なのだが、私には守護霊とかはいないはずだ。
だとしたらどこからか連れてきた……?
と頭を捻っても、こんな緑の幽霊を見た覚えなんてない。まさか、知らずに心霊スポットでも通ってきたのかと疑い始めた時、緑の幽霊が突然走り出して(といっても足はない)私の寝室を飛び出した。
ちょっと待なさいと追い掛けると、緑の何かはリビングへ向かってまたまた変な何かの前でぴょんぴょんと跳ね出した。
あ。私は息を飲んだ。
多分緑の幽霊は私に忠告をしてきたいい幽霊だ。私にもとうとう守護霊が来たのかと安堵をしている余裕はなかった。なぜなら、リビングのテーブルに、見覚えのある水色の何かがもたれかかっていたからである。
「どうしてここに、ルザクさんの守護霊が……」
私は独り言を呟く。間違いなく、目の前にはルザクさんの守護霊……否、水色の死神が、テーブルにもたれかかっていたのだ。
忘れるはずがない。だって、死神だし、水色なんだもん!
声を掛けようか悩んでいると、背後から声が飛び込んできた。
「ふむ、オヌシはどうやら、人外に好かれやすいようだな」
「白蛇さん……!」
どうやら何か事情を知っているらしい白蛇さんが、着物を来た人の姿で私の家に入ってきたのだ。
これから私、ますます幽霊事件に巻き込まれそうです。
私は、こっそりため息をついた。
続く……?