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とんだお人好しヒーロー《ブルーロック》

第2章 また明日な



「……」

「大丈夫か?痛くねえか?」

國神は逸崎をおんぶして、グラウンド横のベンチまで運ぶ。


逸崎をいじめていた3人は國神の貫禄にビビって逃げていき、ようやく一難が過ぎ去った。

「ど、どうしてこんな……」
「とりあえず戻るぞ」

「!」

國神は逸崎の言葉を待たず、彼女を運ぶために一旦屈む。

「そんなことしなくても、1人で歩け……」

グワンッ

(あ、あれ…?)

ポスッ

しかし逸崎は足に力が入らず、そのまま國神の肩に倒れる。

何これ……身体が…動かない…

(久しぶりに試合したから…こんな……)

今更になって、試合の疲労がどっと出た。

「ほら言わんこっちゃない」

ヒョイッ

國神は軽々と逸崎を抱っこする。

「聞きたいことは色々あるが、とりあえず休むことが先決だろ」

「ちょっと、待って……」

「?」

國神に大事に抱えられている逸崎は、ネックウォーマーで顔下半分隠してから言う。

「せめて…おんぶにして。初対面の人に…姫抱っこは恥ずい……」

小声でろくに目を合わせず、己の羞恥心を訴えた。

「……悪い」


ベンチまでおんぶで安全に運ばれた逸崎は、取り敢えず自分の水筒の水を飲んだ。

試合後にぶり返してきた疲労で上手く飲めず、咳き込むと國神がすかさず背中をさする。

「それ、スポドリだとしても、腹の足しにならねえだろ。ガス欠かもしんねえし、何か食った方が」

「いやいい。元々食欲無い…」

國神は逸崎の前にしゃがみ込み、顔色を伺う。

「お前やっぱ明らかに顔色悪ぃぞ。念の為病院に行った方が」

「日曜日はやってないと思うよ。しかもこんな時間だし」

逸崎が見上げた先にある時計台は、夜6時を回っていた。

「それもそうか…」

國神は何ができるか色々と考えを巡らせたが、逸崎は「もう充分だよ」と言って止めた。

「少し休めば治る。久しぶりにあんな動いたから、体が驚いているだけだよ」

「サッカーやんの久しぶりだったってことか?」

「……」

逸崎はしばらく間を置いてから、こくりと頷く。

「ずっと、病気がちだったら、あまり練習できない時期が続いて……でも、誘われてつい断れなかった」

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