第10章 オフ②
ゲームセンターで1人格闘ゲームをしていた凪君を確保したのち、せっかくだからとダーツやビリヤードを楽しむ面々。
ふざけたり競い合ったりはしゃぐ姿はやっぱり普通の高校生達だ。
「あっちに卓球台あんじゃん‼︎卓球やろ〜ぜ‼︎」
「おっいいね♪どーせならチームに分かれて対決しようか?」
「チームに分かれるなら一次選考ん時のチームでいいんじゃね?人数的にも良さそうだし。」
「チームZ‼︎負ける気しねー!」
「ハッええやん。どうせやったら何か賭けようや?」
何やら盛り上がってるけど、どうやら次は卓球で勝負をするらしい。
皆んな久しぶりのオフだもんね…
また2週間後には監獄に戻るわけだし、そりゃはしゃぎたくなるよね。
卓球台へと走って行く彼らに温かい目を向けながら、私は少し離れた場所にあるベンチへと腰を下ろした。
歳がそこまで変わる訳じゃないけれど、あの輪に入って一緒にはしゃぐ程私は無邪気ではないし、正直さっきの千切君の告白でまだ頭が混乱している。
千切君は何もなかったかのように溶け込んでるし…。
現に今も楽しそうにラケットを振り回している。
今すぐどうこうしたいわけじゃないとは言ってたけど、あんな告白をされたら意識しちゃうし視界に入れば目で追ってしまう。
そもそも何で私なんかをーーーー……
(ってだめだ…。
千切君の誠意ある言葉を否定しちゃいけない。)
ぶんぶんと被りを振る。
否定しちゃいけない、と頭では分かってるのにどうしたって劣等感は拭いきれないし、自信が持てない。
ふぅ。と短く息をはく。
(とりあえず何か温かい飲み物でも飲んで気持ちを落ち着かせようかな……)
そう思いベンチから立ちあがろうとした時、
「コレあげる。」
いきなり顔の近くにペットボトルを差し出され、驚きのあまりお尻がズルっとベンチからずり落ちてしまった