第7章 7夜
「あぁっ凪君!やっぱりここにいた!」
メガネを掛け、凪君と同じ色のユニフォームを着た人が息を切らしながら中へと入って来た。
「あー…えっと〜……ゆっきー。」
「午後のマッチアップ始まるから急いで、って……あれ、あなたは?」
柔らかそうな雰囲気のその人と目が合う。
(ーーー初めまして、の人だ。
って言ってもすぐにここを出るし、自己紹介するまでもないよね…。)
『あ、私はもうこれで失礼するので。』
「?そうでしたか。それよりちょっ、凪君⁈寝てる場合じゃないから!」
「えー……眠い〜動けない〜。」
「いやいや、ホントに時間ないから!起きて?」
なかなか動こうとしない凪君の肩をその人はゆさゆさと揺すっている。
「ん〜…」
(メガネの人、困ってる……
この状況を前にして出て行くのはちょっと忍びないな、、、)
そう思い、食堂の入り口へと向きかけた足を止め、凪君の方へと向き直った。
『ーーー凪君を待ってる人、いるんじゃないですか?』
2人の視線が私に向けられる
誰、とは言わない。
けど、玲王が言う相棒が凪君ならきっと分かるはず、そう思った。
『約束、、、、覚えてますか?』
気付けば口から漏れ出ていた。
あ…、
余計な事を言ってしまったと一瞬躊躇うも、私の一言に凪君の目の色が変わった
ような気がした。
「・・・何でアンタがその事知ってんの?」
『・・・それは…』
射抜くような視線を向けられ、何て返したら良いか分からず口籠もってると、椅子がガタンと音を立てた。
「覚えてるに決まってるし。」
さっきまでぐだぐだしていたのが嘘のように、凪君は立ち上がると入り口の方へと歩き出した。
「ゆっきー、時間ないんでしょ?行くよ。」
「えっ?あー、うん、、」
気怠い雰囲気から一変、人が変わったようにオーラを放つ凪君にゆっきーと呼ばれた人も少し戸惑っているようだった。
凪君は振り向く事は無かったけど、"ゆっきー"は律儀にも私に会釈をし出て行った。