第6章 6夜
あんな事があったせいか、その夜はなかなか寝付けないでいた。
ベッドに横になったまま時計に目を向けると24時をとっくに回っている。
『はぁ〜…。』
何度目かのため息を吐き、枕に顔を埋めるとほのかにシャンプーの香りが残っていた。
(あ、千切君の匂い……)
胸にチクッと痛みが走る
いつもならちゃんと切り替え出来るのに今日は何でこんなに胸がざわつくんだろう……。
枕に顔を埋めたまま目を閉じる。
身体を求めるでもなく、私を普通の女の子のように扱ってくれた
陽の当たらないこの世界にどっぷり浸かった"モカ"じゃなく、""という1人の人間として…。
『・・・・って、ダメダメ。』
心が浮つきそうになり被りを振る。
(ーーー私、何考えてんだろ………
今更生き方を変えるなんて無理なのに。)
千切君だって部屋を出る時はちゃんと線を引いてくれた。
勘違いしちゃいけない。
私は彼らとは違う。
そう自分に言い聞かせる。