第5章 5夜
甘いひと時はあっという間に過ぎタイマーが1分を切った。
扉へと向かう千切君の後ろ姿をじっと見つめていると、ふと彼の足が止まった。
「ーーーー俺、ここにはもう2度と来ないから。」
背を向けたままそう話す千切君の言葉は清々しいほどキッパリとしたものだった。
私もそれを望んだはずなのに、いざ千切君から言われると線を引かれた気がして胸が傷んだ。
(私も大概自分勝手だな……)
そんな自分に自嘲気味な笑みを浮かべる
『うん…そうだね。』
それが良い。
『頑張ってね、陰ながら応援してます。』
背中に向かってエールを送った。
いつか、、、
次会う時は画面越しで活躍する姿が観れたらーーー
私はそれで良い
この千切君との30分がこれからの私に大きく影響するとはこの時はまだ気付かなかった。
ーーーーー
扉が閉まり通路で1人立ち止まる
今自分が出て来た無機質な扉を睨みつけギュッと拳を握った。
「次会う場所はここじゃねーから。」
いつか必ずーーーーーーーー
固く誓いを立て、足を進める
一度は諦めた夢をもう一度叶える為
そしてもう一つ、新たに見つけた大事なものを守るため