第2章 2夜
その夜
「お嬢、さっきから何真剣に観てんの?」
「え?あー…ちょっと気になる事あって調べてた。」
「気になること?」
「そ。つーか凪、こんなんあるの知ってたか?」
試合以外でもこんな顔すんだ…と思いながら凪は差し出されたパッドの画面に目を向ける
そこには
「性処理ケア……?何これ。」
「前に食堂でチラッと耳にした事はあったけど……マジでいんだな。」
「へー…。何か色々規定は書いてあるけど。
要はここに行けばスッキリ出来るって事でしょ?
ブルーロックすげーー。」
「モカがやってるんだと思う。」
「・・・・・誰?」
「さっき食堂で会ったろ?フード被ってた子だよ。」
「あぁー。あの大食いの子?そう言えばそんな名前だったっけ。」
「お前なぁ〜。。」
呆れ顔の千切を横目に、凪はベッドに横になる
「俺は興味なーい。お嬢気になってんなら行ってくれば?」
「いや、別にそーゆうんじゃねーけど。」
「・・・・・。」
「多分俺らとそんなに歳変わんねーのになって。
見た感じも話した感じも普通の女の子って感じだったろ?」
「・・・・。」
「辛くねーのかなって。
まぁ余計なお世話なんだろうけど。」
パッドを閉じ息を吐く。
強制されてる訳でも無理に働かされてる訳でもないのはわかる。
辛い、苦しいと涙を流してる訳でもない。
人にはそれぞれ色々な事情があることぐらい分かってる。
これが彼女の仕事なんだろう。
返答の無い凪に目を向けるとすでに寝息を立て始めていた。
(人が話してるのに寝やがった……)
そんな凪に言われた言葉がふと頭を過ぎる
"気になってんなら行ってくれば?"
「・・・・・。」
(いやいや…、、、行くってつまりそーゆう事だろ⁇)
首に掛けていたタオルを掴みペシッと床に投げつける
(つーか別に気になってねーしっ‼︎)
今はとにかく試合に勝つ事だけに集中しねーと。
次は4thステージ、勝てば二次選考突破。
ーーーー絶対に勝つ‼︎‼︎
その数分後。
「お嬢っ!テメェ濡れたタオルを床に放置すんじゃねぇーーー‼︎‼︎何度も言わせんなっ‼︎‼︎」
「あー、はいはい。」
自主トレーニングから戻って来た馬狼に説教されたのは言うまでもない。