第12章 ショッキングピンクと若草色
「ビンゴ。」
「っ‼︎‼︎」
勢いよくドアを開け入って来たのは乙夜君と千切君だった。
「〜〜お前っ、、‼︎‼︎」
ソファに押し倒されている私を見た瞬間、千切君の強烈な膝蹴りが西野入さんの脇腹に命中。この間、僅か1秒。
「ぐふっ、、」
鈍い音と同時、大ダメージを受けた西野入さんがドサッと私の上へ倒れ込んできたけれど、すかさず乙夜君が首根っこを掴み床に引き摺り落とした。
「誰の上に乗ってんだ変態ヤロー。」
カラオケに来る前はバチバチと睨み合っていた2人が不思議と今は息がピッタリだ。
床へと倒れた西野入さんは意識を失っているのか反応はない。
た、、助かったーーー……
2人の姿に安堵したせいか、緊張の糸が切れボロボロと涙が溢れ出す。
「っ怪我は⁈⁈つーかその顔っ、、」
ヒリヒリと痛む右頬が赤くなってたのかもしれない、千切君が痛々しげな表情で顔を覗き込んできた。
『だ、大丈夫、、、何もされてない、、、』
泣き顔を見られたくなくて手で顔を覆いながら首を横に振る。
「何もされてなくないだろっ⁈つーか誰だよコイツ⁇何でこんな目に、」
「お嬢、ストップ。とりあえずちゃんを安全な場所に移動させんのが先でしょ。」
「あ、あぁ…だな。」
苛立ちを顕にする千切君を乙夜君が窘める。
「NAME1#ちゃん、とりあえず部屋から出るから俺が履かせちゃってもい?」
『・・・あ、、ごめ、、』
自分が恥ずかしい姿だった事に今更気付き、慌てて起き上がろうとしたけれど、乙夜君が手早くデニムを履かせ身なりを整えてくれた。
「オッケー。もう大丈夫だから。」
『っ、、、ありがとう…。』
いつもならやたらボディタッチをしたり軽い言葉ばかり言う乙夜君が今はそっと手だけを握ってくれて。
その気遣いと優しさにまた涙が滲む。