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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第12章 【共同生活のすゝめ】


 久しぶりに見たルーピン先生のログハウスは、すっかり雪景色に染まっていた。屋根の上には白い砂糖菓子のようにキレイに雪が積もっている。また幾つもの畑には寒さに強い野菜の葉が、雪と土の間からチラホラ見え隠れしていた。
 そして先生お手製と見られるクリスお気に入りのカカシは、その帽子の上に雪を積もらせて寒そうに見えた。

「さあ、入って。中で紅茶でも飲みながら話そう」
「ハイ!」

 クリスはカカシの帽子に積もった雪を落としてから、ルーピン先生の家に入った。一方、突然連れてこられたドラコは、怪訝な顔をしながらクリスの後に続いて家に入っていった。
 相変わらず、ルーピン先生の家は色んな物でごった返していた。先生の捨てられない症候群は未だ健在らしい。
 あちこちの道具をどかしてから、先生は魔法でティーセットを用意すると、やかんを火にかけるため台所に行った。

 その間、ドラコはずっときょろきょろと周りを見渡していた。確かにドラコからしてみたら、これは家と呼べるべき存在ではないだろう。
 だが立場が立場だし、文句ひとつ言うことなくだまって紅茶の用意が出来るのを待っていた。

「紅茶くらいしか無くてごめんね、近頃は全くこっちに来てないから碌なものが無くて」
「と言うことは、まだ諜報任務中なんですか?」
「いいや、トンクスの実家で一緒に暮らしているよ。任務で帰れないことも多いけれどね」

 そう言ったルーピン先生の顔は、今まで見たことがないほど幸せに満ちていた。一時はトンクスと赤ちゃんの平穏の為、離れて生活しようとしていたが、ようやく父親としての自覚が出来たらしい。
 そんな先生を見て、クリスはちょっと嬉しくなったと同時に、ちょっとトンクスが羨ましくなった。

「先生、お子さんの様子はどうですか?」
「順調に成長しているよ。時々ニンファドーラのお腹を蹴るらしくって、家庭内暴力だって騒いでる」
「良かった。先生が幸せそうで私も嬉しいです」
「ありがとう。そうだ、砂糖は足りているかい?トンクスは僕の淹れた紅茶は甘すぎるといつも文句を言うんだよ」
「そんなことありません、ちょうど良い甘さです」
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