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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第6章 【散った友情】


「ロンッ!待ってくれロン!!」

 クリスの言葉が耳に入っていないかの様に、ロンはずんずんと森の奥へ向かっていった。クリスは必死に追いかけて、ようやくロンの肩をつかんだ。ロンの顔は怒りと言うよりも嫌悪感を丸出しにし、クリスの手を払いのけた。

「僕になんの用があるんだ、純血主義者が」
「私が純血主義者だなんて良く言えるな、目の前で父親が殺されたのを知っているだろう?」
「そんなの関係ないさ、結局マルフォイ一家のために動いているんだから」

 これらのやり取りの中で、クリスは凄まじい憎しみを感じたが、同時に妙な違和感も感じた。

 いくらドラコの事があるとはいえ、何故ここまでクリスを悪人に仕立て上げようとするのか……。
 その時、ロンの首元がキラリと光った。スリザリンのロケットだ。

 なるほど、どうやらロンはロケットの呪いに当てられてこうなってしまったんだ。
 ロンは以前から呪いに対する抵抗が弱く、ロケットをつけている時はいつもイライラしていた。

「ロン、ロケットを外せ。君は今ロケットの呪いでおかしくなっているんだ」
「おかしい?そうさ、僕はいつだって面白おかしいハリー・ポッターのお供だ。いつでも誰か笑わせてないと価値がないピエロなんだ」
「そんなことはない!ロン、ロケットを外せ。全てそれで解決する!」
「嫌だね!!」

 その時ロンが杖を取り出そうとしているのを見て、クリスは咄嗟にロンの腕をつかんだ。
 だがその次の瞬間、ロンがクルッと回って『姿くらまし』をする気配を感じた。クリスは再びロンの腕がばらけるのを恐れて、手を放してしまった。

 極力素早く放しはしたが、クルッと回る時の遠心力と同時に、いつものゴム管をぎゅっと通り抜ける感覚がクリスを襲った。

 成功か、はたまた失敗か。その答えが出た瞬間、クリスはバシャーン!と大きな音を立てて水の中に飛び込んでいた。
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