第5章 【冒険ごっこ】
朝食を終えると、シリウスとルーピン先生は騎士団の任務があるからと屋敷を後にした。
そして「子供の冒険ごっこではなく、騎士団と肩を並べたいなら」と、マンダンガス・フレッチャーが盗んでいった、本物のスリザリンのロケットを探し出せ、と言われた。
「探せって言ったって、何処にいるかもわからない相手をどう探すんだよ!」
「他の分霊箱と違って、ヒントがあるだけまだマシじゃないか?」
「まさに前途多難ってやつだね」
ロン、クリス、ハリーの3人が揃ってため息を吐く中、ハーマイオニーは沢山の荷物が入ったビーズのバッグをひっくり返し、『数占い学』の教科書を引っ張り出した。
それを見たロンが露骨に嫌な顔をした。
「うげっ、ハーマイオニー、まさかさそんな物に頼る気なのかよ?」
「そう、そのまさかよ。指針なんて無いに等しいし、それにただの『占い学』より百倍マシな学問だわ」
まるで『占い学』を汚らしい雑巾のような言い方をすると、ハーマイオニーは『数占い学』の教科書をめくり始めた。
だがトレローニーの所為で全ての占いに偏見を持っているハリー、ロン、クリスの3名は、まず現実的にマンダンガスの居そうな疑わしい店について話し始めた。
アイツならホグズミードの怪しい酒場、ホッグズヘッドに変装していそうだとか、はたまたノクターン横丁で盗んだ金品を横流しにしていそうだ。とか言ってはみたものの、どうも具体的な案は出てこなかった。
「やっぱり情報収集として、僕たち自身で動かないと」
「透明マントを使って、ペアで動いたらいいんじゃないのか?」
「そうだね、絶対に1人では動かないようにしよう。それじゃあ……」
「待って!出たわ!!!北より思わぬ助っ人が現れる、ですって!!」
『数占い学』の教科書からパッと顔を上げたハーマイオニーが、笑顔でそう言った。――が、それを聞いたハリー、ロン、クリスは揃って眉間にしわを寄せた。