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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第4章 【果てしなく続く青空】


 涼やかな風と爽やかな草の匂いを胸に、すぅっと目を開けると、そこは果てしなく続く綺麗な花畑だった。
 空は青く白い雲はどこまでも穏やかだ。また足元には色とりどりの花々が咲きみだれ、優しい風がさやさやと葉をゆらし、心安らぐ音があたりから響いてくる。

 ……あぁ、これは夢だ。そう、夢に違いない。

 何故だろう、どこかで見たことのある景色の様な気がする。
 いや、気だけではない。確かに来たことがある筈だ。しかしここが此処がどこなのか、ハッキリと思い出すことが出来ない。

 あてもなくぼんやりと立ち尽くしていたその時、ふわりと吹いた風が、いたずらっぽくクリスの頬をくすぐった。
 この懐かしいような暖かい感じのするここは……そうだ、ホグワーツ特急の夢の中で見た、あの花畑だ。と、言うことは……。
 クリスがきょろきょろと辺りを見渡すと、やはりクリスがいる場所から少し離れた所で、光を背に一人の少年らしき人影が立っているのが見えた。
 ――あぁ、そうだ、きっとあの人に違いない。

 クリスは逆光の中、そちらに向かおうと走り出すが、やはり映画のスローモーションでもかけられているかの様に、ゆっくりとしか前に進めない。
 足が鉛の様に重く、関節は木で出来たかの様に固い。それでも諦めず、クリスは足を前に進め続けた。

 どうしても会いたい人がいるんだ、どうしても、どうしても会って話したい人が……。
 クリスが必死に手を伸ばし、彼も答えるように手を伸ばした。その時――

「――ねえってば!!起きてよクリスッ!!!」

 ……2度目、これで2度目だ。1度ならず2度までも、この最高の瞬間を最低の瞬間に変えられたのは。
 その重罪人のは名前はもちろん、彼のハリー・ポッターである。

「…………で?」

 クリスはハリーの心臓を射殺しそうなほど鋭く、冷たく睨みつけると、一応先に要件を聞くことにした。速攻仕返しに走った1年生のころに比べれば、クリスの精神面も少し(?)は成長しているようだ。
 ハリーはクリスの視線に少し怯みつつも、興奮気味に上の階を指さしながら「良いから来て!」とクリスの手を引っ張っていった。
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