第26章 【finale】
「――あの子の魂には、ヴォルデモートの魂の一部が刻み込まれている。故にあの子が死なぬ限り、ヴォルデモートが死ぬことはないじゃろう」
突然突き付けられた現実に、ハリーはただ茫然とした。ダンブルドアが計画的に殺されたという事にも、度重なる危機からスネイプが命を守ってくれていたという事実にも驚いた。
しかもそれが母のリリーを心から愛しているが故にと言うことにも驚かざるを得なかった。
「僕は……どうすれば良いんだろう……」
ダンブルドアは死もいとわず分霊箱の破壊に殉じた。スネイプもまた、愛した女性のために最期まで暗躍してみせた。ならば自分も潔く死んで……
いや、違う。これはダンブルドアとスネイプから託されたバトンなのだ。死と言う名の尊きバトン。
例え死ぬことを運命づけられていたとしても、これはただの犬死ではなく、勝利への尊い第一歩となるのだ。そう思うと、ハリーの心は凪いだ様に静かになった。
「――行こう、これでフィナーレだ」
そう呟くと、ハリーは一人叫びの屋敷を後にした。
* * *
一方そのころ、ハリー不在の中、ロンの活躍でDAメンバーは誰一人欠かすことなく闇の陣営たちと戦っていた。
荘厳たるホグワーツ城は、今や巨人や大勢の『死喰い人』達の所為でその半分以上が瓦解し、あちこちで死傷者が出ていた。
それを踏まえると、DAメンバーは素晴らしい活躍の一言に尽きた。だが――
「今だ!盾の部隊は左右に転回!攻撃部隊、正面の巨人に一斉射撃——!」
「うああああああぁっ!!」
巨人が正面から現れるのと同時に、右側の壁が大きな棍棒で破壊され、大量の瓦礫がなだれ込んできた。
そこに立っていたのは、これまで目にした事が無いほど大きな巨人だった。おそらく以前ハグリッドが話してくれたガーグと呼ばれる巨人の長だろう。
その巨人がひときわ大きな棍棒を掲げると、盾の呪文を唱えるよりも先に強烈な2撃目が振り落とされた。
当然布陣は乱れ、沢山の瓦礫と共に周囲に粉塵が舞い散った。
口の中の砂をつばと共に吐き出しながら、ロンが後方にいたハーマイオニーに向かって叫んだ。