第25章 【セブルス・スネイプ】
次の記憶は入学式の組み分け帽子の場面だった。例年通り順番に名前を呼ばれ、リリーの番が回ってきた。
――グリフィンドール!!
それを聞いた時のスネイプの落胆は酷かった。スネイプは自分がスリザリンに組み分けされると、わざとリリーから離れるように席に着いた。
次の記憶は、入学式から数年後だった。陽が暮れた廊下で口げんかしている。口論の内容は互いの友人関係……と見せかけたスネイプの、ジェームズへの嫉妬だった。
感情を共有しているハリーはとてつもない嫉妬で狂いそうだった。
「ポッターなんてろくなヤツじゃない!それなのに皆アイツを英雄視してる!!」
「私はそんなことしてないわ!それよりもセブ、貴女の友人はどうなの!?」
本当はこんな喧嘩したくない。
自分の両親の様に罵り、叫び、傷つけ、憎む、そんな日常。
何故こうなってしまったのか。まるで掛け違えたボタンの様な関係に……。
その次の記憶は、ハリーにとっても最悪な記憶だった。
『O・W・L試験』が終わり、生徒たちが一斉に校庭で羽を伸ばしていると、シリウスが「暇だ」と言う理由だけで、スネイプに呪いをかけたのだ。
そして父であるジェームズがスネイプを逆さづりにし、パンツを脱がそうとした。その時——
「止めて!彼にかかわるのは止めてっていつも言ってるでしょ!!」
「煩い、近寄るな汚れた血め!」
この言葉を発した時、ハリーは内臓全部が混ぜこぜのグチャグチャになり、このまま死にたい気分だった。
その後、夜更けに弁解をしようと必死になるスネイプだったが、記憶の中のリリーは背中を向け消え去り、そのままホグワーツ卒業を迎えた――。
次の記憶は、ハリーが見たこともない殺風景な丘の上だった。そこでハリーと――ではなく、スネイプとダンブルドアが対峙していた。
スネイプはダンブルドアの足元にすがり懇願していた。それもただ懇願していただけでなく、例えようのない切迫感が体中をがんじがらめにしていた。
「頼みます、あの人を……リリーを助けて下さい!!」
「では、お主は代わりに何を差し出してくれるのじゃ?」
ダンブルドアのリアリズムな言葉に、スネイプは一瞬ギクリとした。だが閉じた瞼の裏にリリーの姿がよぎった時、心は既に決まっていた。
「――全てを」