第25章 【セブルス・スネイプ】
その言葉を待っていたかのように、ナギニは――否、ハリーは1度となく、2度、3度とスネイプの首にかみついた。
牙が薄い首の皮を突き通すたびに、または太くてコリコリした血管を突き刺すたびに甘く香る血を、ハリーは蜜のように啜った。
吐き気を促すその行為に、ハリーは狂ったような絶叫と共に現実に帰ってきた。
「ハリー!ハリー!?大丈夫か!!?」
あまりの惨劇に、チャーリーの言葉など耳に入ってこなかった。ハリーは興奮と動揺を抑えることが出来ず、ゼイゼイと激しく呼吸を繰り返しながら、今あった出来事をどうにか自分の中で整理しようと試みた。
(スネイプが死んだ……!?いや、まだ死んでいない、まだ生きているはずだ)
それは幸か不幸か、ナギニと共感したからこそ得られた事実だった。
自分は――いや、ナギニはスネイプを苦しませるために、わざととどめを刺さず、そのまま主人の後を追って禁じられた森へ向かったのだ。
ハリーはふらつきながら立ち上がると、真っ白い顔でチャーリーに向かって叫んだ。
「チャーリー、この町の人達をお願い!僕には今すぐ行かなきゃいけない場所があるんだ!!」
「それは良いが……そんな体で大丈夫か?」
「うん、大丈夫。むしろ急がないと!!」
それだけ言い残すと、ハリーは全速力で叫びの屋敷に向かって走り出した。走りながら、ハリーは何故自分がこんなに必死になっているのか自問自答した。
ダンブルドアを殺した奴の為にこんなに必死になって、いったいどうする?それだけじゃない、アイツの所為でマッド・アイもヘドウィグも死んだ。
それなのに、それなのにどうしてもハリーは足を止めることが出来なかった。