第24章 【失われた髪飾り】
――あと1日……たった1日がこれほど長いとはハリーは思った事が無かった。
みんなは今頃何をしているんだろう、もう戦闘は始まっているのか?
在校生は避難できたのか?
誰か怪我をしているんじゃないか?
自分より先にホグワーツに向かった4人は無事だろうか?
考えれば考えるほど余裕がなくなり、ハリーは親指の爪を噛んだ。
正直に言うと、今すぐオリバンダーさんの店に押し掛けたくて仕方なかった。だが自分が居ることで作業の邪魔になるんじゃないかと思うと、その衝動を抑えざるをえなかった。
誰でも良い、何でも良いからホグワーツにいる皆の情報が欲しかった。そう思った矢先に、アジトの扉が開いた。
「ハリー、調子はどう?アップルパイを焼いてきたんだけれど一緒にどうかしら?」
小さな扉をくぐって入ってきたのは、ウィーズリーおばさんだった。
やきもきして食が進まないハリーに、気を利かせて作ってくれたのだろう。だがハッキリ言って今はパイなんて呑気に食べていたい心境ではなかったが、おばさんの手前そうは言えなかった。
ハリーは「それじゃあ、一切れいただきます」と答えると、味のしないパイをさも美味しそうに食べた。
「どう?美味しいハリー?」
「はい、とっても」
「ふふふ、嘘が下手ねハリー。本当は殆ど味なんてしないんでしょう?」
嘘を見抜かれ、ハリーは思わずむせてしまった。
おばさんに気を使わせてしまい申し訳なく思ったが、ウィーズリーおばさんはそれすらも見透かすように優しく微笑んだ。
「気持ちは分かるわ。大切な人たちが戦っている中、1人で待っていなければならないなんて本当に拷問のようだもの」
その言葉はハリーの心臓に杭を刺すような激痛を伴った。それ程、おばさんの言うことが言葉だけではなく、実感を伴った痛みとして共感できたからだ。