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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第23章 【二人合わせ】


 しかし亡者は千切れ落ちた腕など気にせず、残った片手でクリスの首を絞め続けた。
 痛覚はないのだろうが、その涙と哀れなうめき声を耳に、クリスは直観でこの亡者が誰なのかが分かった——否、“分かってしまった”のだった。

「と、父……様……」
「なんだって!?」

 クリスのその言葉に、その場にいた全員が驚いた声を上げた。
 ヴォルデモートは、きっとクリスがここに来ることを予想していたのだろう。死してなおヴォルデモートの駒にされるとは……。
 クリスは首を絞められることよりも、泣きながら娘の首を絞める父・クラウスの姿を見ている方が何十倍も辛かった。

「う゛う゛う゛……ああ……あああ……」
「頼む、み、みんな、は……手を、ださないで……くれ」
「そんなこと言ってたら、君まで死んでしまうぞ!?」
「いい……から、私に、策が、ある」

 クリスは首を絞め続けられ、意識が朦朧としながらも召喚の杖をぐっと握った。

「 白金の……抱擁、を、授けし聖なる者よ 」

 クリスが呪文の詠唱を始めると、首をつかんでいる父の力がさらに強くなった。
 ほとんど息ができない状態のクリスは、肺の中に残された息を限界まで吐ききり、呪文を詠唱した。

「 古より、伝わりし……血の……めい、やくに、おいて、汝にめ、いず……」

 呪文を詠唱しながら、クリスの脳内では小さい頃の記憶がぐるぐる回っていた。これが俗に言う走馬灯というやつなのだろうか。
 小さいころ父様の箒を壊して怒られたこと。誕生日に貰ったキラキラ輝く星座図鑑。嫌で嫌で仕方なかったパーティー。
 他にもマグルの街に遊びに出かける度に叱られたこと。ホグワーツ初日に見送ってくれた少し寂しそうな父様の横顔……。

 皆が皆、楽しい思い出ではなかったが、どれもかけがえのない思い出ばかりだ。だから言わなくては、父様を助ける唯一の言葉を!

「い……出で、よ、エーテル! 」

 その瞬間、目を開けていられない程の強い光が洞窟の中を照らした。クリスが恐る恐る瞼を開くと、そこには蜂蜜色のふわふわとしたロングヘアーと、花のような笑顔が印象的な母・レイチェルにそっくりな光の精霊が、大きな白い翼を背に空中に浮いていた。
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