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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第3章 【命からがら】


「繰り返す!!至急、全員その場から避難しろ!!何処でも良い、人気のない場所へ行け!!」

 キングズリーの太く大きい声の中で、女性と言わず男性や子供の声も行きかい、あたりは騒然となった。
 クリスはとにかくハリーを探そうと、赤いドレスの子供を探したが、どこにもいない。――まさか、と思ってクリスが焦っていると、後ろからぐっと腕を引っ張られた。

「やっとつかまえた、こっちだ!!」

 腕を引っ張ったのはロンだった。その反対側の腕にはハーマイオニーと、赤い服を着たハリーがいる。
 騒然とする会場内では、殆どの人間が『姿くらまし』をして消え始めていた。クリス達4人も互いに手を握り、すさまじい騒ぎの場から『姿くらまし』をした。

* * *

 『姿くらまし』をすると、一瞬ぎゅっとゴム管の中を通るような心地がするから嫌いだ。クリスがパッと目を開けると、そこは見たことのないマグルの町の光景だった。
 複数人での『同時姿くらまし』の経験はなかったが、追手はないようだし、どうやら上手く逃げ切れたみたいだ。

「みんな、大丈夫?」
「平気だけど、ここはどこ?」
「トテナム・コート通りよ。パッと思いついただけだから、文句は無しにしてちょうだい」

 緊張感の続くハーマイオニーの言葉に、クリスは言われるがまま通りを歩いた。途中ポリジュース薬の効果が切れ始め、クリスはともかく、ハリーは悲惨な姿になっていった。

「よう、ボウズ!ハロウィーンにゃちょっと早ぇんじゃねぇのか!!?」

 さびれた通りの向こう側から、酔っ払いがヤジを飛ばしてきた。最初は無視して歩いていたが、刻々と時が進むにつれて、ドレスがハリーの体に耐えきれず破れ始めてきた。
 流石にこれは不味い、下手したらマグルの警官に職務質問される恐れが出てくる。
 ハーマイオニーはあたりを見回し、ゴミ捨て場のような死角に入ると、どうやったのか小さなビーズのバッグから4人の着替え一式を取り出した。
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