第2章 【嵐轟く結婚式】
その後のパーティでは、クリス達は「混血の家族」として扱われ、時に魔法界の、時にマグルの世界の話しで盛り上がった。
そこでまたリータ・スキーターの胡散臭い記事がどうのとか、新聞の一面がどうのとか、散々くだらない議論がされていたのを、クリスはあえて聞かないようにしていた。
これは持論だが、ろくでもないニュースに飛びつく奴は、同じくろくでもない奴だからだ。
それらを右から左へ聞き流し、適当に相槌を打っていると、広いテントの真ん中でただ一人、ルーナが風に揺れる柳の様にユラユラふらふら踊っていた。
こういう時は通常、男女がペアとなり踊るものだが、そのあまりのヘンテコぶりに、クリスは笑い出すのを堪えきれず、ルーナの傍へ行った。
「失礼、レディ。ご一緒に踊っても宜しいでしょうか?」
「うん、この踊りは若い女の子の方が村長が喜ぶから」
どこの村の村長なのか、クリスにとってそんな事はどうでも良かった。ルーピン先生の結婚式の場で、例え馬鹿にされようが、何をされようが、晴れた気持ちになれたら何だってよかった。
ルーナと一緒に笑いながら踊っていると、突然太陽を覆う雲が厚く、辺りが薄暗くなってきた。
皆がテントの裾から外の様子をうかがっていると、バーンッ!!と比較的テント近くに落雷した。
「今の、あたしンちの方角だ……」
「本当か!?ずいぶん大きかったみたいだけれど……」
ルーナからその話を聞いた直後、同じように大きくバーンッ!!という音が聞こえた。まさかテントに雷が直撃したのかと身構えが、少し様子が違うようだ。
人々がざわめくパーティ会場のど真ん中に、白く透明で霞がかった大きな四つ足の動物が現れたのだ。
会場にいた誰かが悲鳴を上げる前に、ヤマネコと思われるパトローナスがこう警告した。
「至急、全員その場から避難しろ!スクリムジョールが殺され魔法省が陥落した。このままでは殆どの人間が迫害される。もう一度言う、大至急、その場から離脱しろ!!」
つい先ほど会った人間が死んだと聞いて、クリスは頭が真っ白になった。そしてこれが俗にいう、第二次ヴォルデモート戦争の幕開けであった。