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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第17章 【最後に勝つのは】


 傷だらけの状態でシリウスが帰って来て、一時は騒然としたが、とにかく何か良くない事が起こっていることだけは確かだった。
 シリウスの怪我はもちろんだが、最後に言っていた「ロンが待っている」という言葉も気になる。

 まさかロンもシリウスと同じ目にあっているんじゃないかと思うと、直ぐにでもトム・リドル・シニアの墓地まで飛んでいきたい気持ちになった。
 ――あの場所で、もう大切な人を失いたくはない。クリスはグッと爪が食い込むまで拳を強く握った。

「クリス大丈夫?顔色がとても悪いわよ」
「私は平気だ、それよりシリウスの状態はどうだ?」
「平気よ、秘蔵のエリクサーが効いたみたい。ぐっすり眠っているわ」
「良かった……」

 ハーマイオニーの言う通り、シリウスの呼吸は先ほどより落ち着いている。クリスはベッドの端に腰掛けると、シリウスの手を取りそのぬくもりに頬を緩ませた。
 それにしても、あのシリウスがここまで傷ついて帰ってくるなんて、一体どんな『死喰い人』と応戦したんだろうか。そう考えた時、クリスの脳裏にふっとスネイプの顔が浮かんだ。

 スネイプとシリウスの確執はここにいる誰もが知っているし、戦力的にも相応だ。となると、ますますロンのことが気掛かりになる。
 神頼みなんて柄じゃないが、この時ばかりは神様にロンの無事を願った。

「とにかく、一刻も早くロンを助けに行こう」

 ハリーの声に、その場にいた3人も頷いた。本来なら罠などの可能性も考え、不死鳥の騎士団からの指示を待つのが一番だった。
 だが、今はとにかく少しでも早くロンを助けに行きたいと言う一心で、4人だけでトム・リドル・シニアの墓場へ向かう事に決めた。

 4人は手を重ねると、ハリーを先導に集団で『姿くらまし』をした。いつも通りゴム管を無理やり通る様なイヤな感覚を一瞬だけ味わった後、クリスはそっと目を開けた――。

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