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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第16章 【立ち込める暗雲】


 よほど激しい戦闘だったのだろう。シリウスは疲弊し、息も絶え絶えだったが何とかベッドから起き上がろうとしたので、クリス達全員で無理やりベッドに戻した。

「皆、聞いてくれ。ロンの行方が、分かったぞ。トム・リドル……シニアの、墓場だ。そこで、君達を待って……い、る……」

 そう告げると、シリウスは力尽きたように目を閉じた。
 ――その刹那、クリスの脳裏に父であるクラウスが死んだ瞬間の光景がよぎり、無理やり体を揺さぶろうとするクリスを、ドラコが必死に止めた。

「止めるなドラコ!シリウスが、シリウスがっ!!!」
「落ち着けクリス!奴の呼吸を聞いてみろ、さっきよりも落ち着いているだろう!?」

 確かにドラコの言う通り、倒れて帰って来た時よりも断然呼吸が静かで、ただ眠っているように見えた。
 ドラコだけでなくハーマイオニーも、「薬が効いている証拠よ」と言ってクリスの肩を優しくさすった。

「ハリー、トム・リドル・シニアの墓場と言えば……」
「ああ、奴が復活し、セドリックと君のお父さんを殺した場所だ」

 何故ロンがリドル家の墓場にいるのか分からないが、あのシリウスがこんな重体で命からがら戻って来たのだ。ハッキリ言ってロンも同じような、若しくはもっと酷い状態である可能性は十分にある。

 沢山の謎と不吉な予感を孕んだ鉛色の暗雲が、クリス達のすぐ傍で、手をこまねく様に立ち込めていたのだった。
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