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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第13章 【恥と猛省】


「待て、という事は……ロンが分霊箱であるロケットを所持したまま行方知れずなのか!!?」
「そう、正直言うとハリーと合流するのと同じくらい緊急事態なんだ」
「君はバカか!!?どうしてそれを今まで騎士団の奴らに言わなかったんだい!?」
「これはダンブルドアが私たちに課した遺言なんだ、その証拠に4人それぞれがダンブルドアから遺贈品を貰っている」
「それで?君が貰ったのは何なんだい?」
「……左手の腕輪を磨く銀磨きセットだ」

 クリスが言い辛そうに言葉を紡ぐと、シリウスはドサッとイスに座り、ドラコは大仰にベッドに倒れ込んだ。
 ダンブルドアの遺言とは言え、唯の銀磨きセットでヴォルデモートとどう戦えというのか。
 話を聞いたドラコは、この新たな恋人兼幼馴染の頭の中を一度で良いから覗いてみたいと思った。
 シリウスも『あのダンブルドア』に託された旅だと言われれば、勇気を胸に意気揚々と旅立つ気持ちは理解できた。だが、その旅の行程があまりにも雑すぎる。殆ど運試しで旅をしてきたようなものである。

「それで?その銀磨きセットは何を教えてくれたんだい?」
「何も……と、言うか、荷物はすべてハーマイオニーに預けていたから、今は手元にもなくて……」

 事実を口にすればするほど、クリスは無計画で行き当たりばったりだった自分たちが恥ずかしくなってきた。
 クリスが羞恥心で顔を赤らめていると、シリウスの盛大な溜息と同時に、ドラコが呆れを通り越して乾いた声で笑いだした。

「はああぁぁ~……」
「フッ、ハハ、ハハハハ……」
「……2人が言いたいことは分かってる、だからこれ以上責めないでくれ。自分でもどうかしてると思ってるんだから」
「……クリス」
「な、何だシリウス?」
「今後行動するときは、私かリーマスに一声かけてから行くこと。返事は?」
「はい……」

 いくら信頼していると言っても、限度というものがある。額に手をやりながら、シリウスが再び大きくため息を吐いた。
 クリスは、まるでマクゴナガル先生に叱られているような気分がして身の置き所がなかったが、到底発言を許されるような空気でないことは確かだった。
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