第3章 神戸北野ホテル
ベッドの設置してある側の
壁だけがダマスク柄になっていて。
天蓋で切り取られた空間は、
2人だけの特別な空間に見える。
『あそこだけ…壁紙が違いますね…』
「うん、あのベッドの頭側だけ
ダマスク柄になってるんだね…」
これがラブホテルだったら
全面この…ダマスク柄だろうけど。
その辺りが…普通のホテルって感じがする。
北野ホテルの建物は
確かに年季を感じるんだけど
そのクラシカルな感じもありつつに。
綺麗に水回りは整えて合って。
可愛い洗面だったなって記憶にあって。
『さ、巴、
この奥も見て下さいよ』
彼が水回りが纏まっている
エリアのドアを開けて、
私に入る様に促して来る。
洗面台のシンクも
アンティークな感じで可愛い。
その洗面台の奥にある
この部屋だけの特別な物が
私の視界に入って来て。
「猫足のバスタブッ!!
映画とかでしか見た事ないよ…?
だっ、旦那さん、これ?
これがこのお部屋だけの
特別な仕様ってなの?」
『ええ、今日はね…
巴のお誕生日ですから…。
僕としては…前の時の大きめの
お風呂の方が良かったんですけど…。
こう言うの巴は、好きかなぁって』
「凄ぉ~い。本物の猫足のバスタブだぁ」
ぐるぐるバスタブの周りを
巴が回りながら
写真を撮りまくっていて。
この部屋って指定して
良かったなって、港斗は
その巴の様子を見ながら感じていた。
「凄いね、猫足バスタブの
本物…初めて見たよ…」
『気に入って…頂けましたかね?』
「うん、ありがとう、港斗」
『姫路にある、
レアティアレってラブホにも
あるみたいなんですけどね。
また今度、そっちも行きますか?』
と…港斗君が、
何とも彼らしい事を言って来て
嬉しそうに笑ってたんだけど。
『さて、ちょっと休憩したら
イグレックに行きましょうか。
ナイトスイーツビュッフェは
17時半からですし
どんな感じなのか、楽しみですね』
スイーツが食べ放題なだけじゃなくて、
フード類も食べ放題だから彼は
高級なスイパラって例えてたけど…。
『あ、そう言えば…スイパラ…で
シャインマスカット食べ放題が
あるらしいですよ?ライトが
女の子とこの前スイパラ行って来たって』