第1章 プロローグ
専業主婦と言う職業は、果たして世間から認められるものなのだろうか。
私は平凡な恋愛も忘れた専業主婦をしている。
夫の誠一と結婚してから丸4年が過ぎていた。
私は結婚するまで某大手電機メーカーで派遣の事務の仕事をしていた。
その時に夫である誠一と出会ったのだ。
出会った当時、私は誠一に殆ど興味がなかった。
何故なら、彼は私よりも4歳も年下だったからだ。
年下には全くと言って良い程、私は興味を抱かなかった。
だが、彼の後輩に対して熱心に仕事を教えている姿を見て、私の心は変わった。
異常なほどに、彼に興味が湧いてきたのだ。
私は、ことあるごとに彼に接触していった。
そして、徐々にではあるが親しくなっていったのだ。
二人だけで飲みに行くのにはそんなに時間は掛からなかった。
そんな、会社の人にも知られずに二人で飲みに行った時の事だ。
告白は、何故だか分からないが誠一からしてきたのを覚えている。
「前々から、美都さんの事が好きだった…」
そう彼は言ってきたのだ。
私はそれを聞くと少し驚きはしたものの、とても嬉しかったのを覚えている。
その後、私はその彼の好意をありがたく頂き、私たち二人は人知れず付き合い始めた。
私たち二人が付き合っていたという事を派遣先の会社の人たちは誰一人として知らなかっただろう。
それくらいに、私たちは秘密に付き合っていた。
そして、私の派遣の契約が満期になり某大手電機メーカーを退職する日が来た。