第3章 受胎
の部屋を後にした僕は、僕らしくない発言に動揺していた。
口に手を当てて息を吐く。
なんで、僕はあんなことを言ったのだろうか。
【歪んだ呪いだよ、これは】
この言葉の真意を僕は知っている。
愛ほど歪んだ呪いはない。
これは持論だが真理だと思っている。
乙骨憂太と祈本里香の純愛がそうだったように。
だからこそ僕はわからなかった。
真意を知っていても、何故僕がその言葉をに言ったのかその意味を僕は理解できない。
僕とあの子の間にはそんなものはないはずなのに。
もし、これが本当に何かの愛情から来たものだとすれば、一体それはなんなのか。
家族愛にも友愛にも純愛にも恋愛にも似つかないこれの名前はなんなんだ。
………やーめた。
こんなことで頭を使うなんてあほらしい。
らしくないことを言ってしまったために混乱しているだけで、他の女と変わらない感情のはずだ。
セフレや風俗嬢を相手にしているのと同じ。
それ以上もそれ以下もない。
変わるとすれば親友の妹ってだけの話し。
それだけのことだ。
変に頭を使ったから疲れた。
伊地知に頼んで甘い物でも買ってきてもらおうか。
考えることをやめたはずのその話題は、頭の隅っこに追いやられる。
引っかかりを覚えたけど、僕は何も知らない気付かないわからないふりをした。
それが後々僕自身の首を絞めることになるなんて思いもしなかった。