第21章 諦念
「人にも自分にも本心を隠すのがお上手なことですこと。あんたのその本音とやらはひとっつも自分のためじゃないでしょ。はぐらかして逃げまくって。弱虫」
「黙って聞いてりゃ言いたい放題言いやがって。じゃあオマエには隠し事の一つや二つはねえのかよ。隠し事はいけねえことか。罪なのかよ。弱点なのかよ。どうなんだよ」
「そこまで言ってないでしょう!!勝手に変な風に解釈すんなよ‼」
「そう言ってるようなもんだろうが!!私がそう受けとったんだからさ!!」
「お前ら落ち着け。今何時だと思ってる」
私は禪院真希に、野薔薇はパンダに羽交い締めにされた。
バタバタと暴れる私達の鼻息は荒い。
お互いから一ミリも目線を外さず睨み合う。
「……今日はお開きだな」
「ああ」
「しゃけ」
先に食堂をでたのは野薔薇とパンダと狗巻棘の3人。
私と野薔薇が一緒だとまた喧嘩になると思ったのだろう。
残される私と禪院真希。
俯いて唇を噛みしめていると頭の上が重くなった。
「野薔薇の気持ちもわかってやれ」
「……私が悪いのかよ」
「違う。そういうことじゃない」
「じゃあ、なに。どういうことだよ、意味わかんねえ」
「頼ってほしいんだよ、アイツはオマエに」
「………」
「不安も悩みも苦しみも今お前が抱えてるものを全部知りたいんだよ。その上でお前と一緒に悩んで苦しんで、助けてやりたいって思ってる。親友、なんだろ?」
「………もう、親友じゃない」
「は?」
「こんな喧嘩して、親友なわけ……」
「はぁ~。お前って本当に………」
「なんだよ」
「なんでもねえ。戻るぞ」
歩きだす禪院真希の後ろを着いて歩く。
重い足取りのまま部屋に戻って布団にもぐった。