第1章 復讐
――五条悟side――
この日、僕は数日前に殺した親友の事を考えていた。
感傷に浸っていたと言ってもいい。
たった一人の親友、呪詛師に堕ちてしまった馬鹿な親友と過ごした青春を思い出しては、なんとも言えない感情を抱いていた。
と言っても、その感情は5秒もしたら僕の中で完結し収束を迎えたわけだけど。
「五条悟!!出て来い!!」
その時、僕の名前を呼ぶ声と同時に警報アラートが校舎中に響き渡った。
侵入者を伝えるそのアラートに、高専内はピリッとした緊張感が走る。
先日のこともあり、高専内の結界は厳重なはずなのにそれをなんなく突破し尚且つ僕を呼んでいる。
呪詛師である夏油一派の仲間かもしれないと踏み、この場にいる呪術師全員で外へと出た。
その間ずっと僕の名前を呼び続けている。
「五条悟はどいつだ」
「五条悟は僕だよ。なんの用?」
結界が破壊された場所へ行くと、そこには中学生らしき女の子が立っていた。
その表情は怒り、憎しみ、恨み、殺意で溢れかえっている。
少女は僕を見ると、奥歯を噛みしめ鋭い目つきで睨みつけた。