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秋の夜に置いてきた恋【イケメン戦国】

第7章 新しい朝


夕刻、お屋敷に戻られた明智様とすれ違った。


光秀「さくら、すまなかったな。話は聞いた。俺が昨日帰れていたら…気にはかけていたが、かえってあおいの引き金を引いてしまったようだ」


私は静かに頭を下げた。「先ほど耳にしたのですが、明智様の家臣の方がずっとあおいを張っていたようです。私はそのような状況も知らず早とちりをしただけです。信長様からも秀吉様からもお咎めはありませんでした。」


光秀「ただ…、昨日の一件でお前が傷ついたことは俺も悔いている。裏はとれた。昨日あおいが動いたのだとしたらどちらにせよ、俺の家臣があの女の命を奪っていた。お前は気に病むな」


明智様は見かけによらず優しい人なのだと悟った。

さくら「感謝しております。」


光秀「戦乱の世だ、常に油断せずにいることだ。お前の目と勘は必ず秀吉の役に立つ。」


さくら「はい」


光秀はさくらの顔をじっと見つめ、少し声を低くして尋ねた。


光秀「それはそうと…政宗と何かあったのか?」


背中を冷や汗が流れたが、この人には下手な嘘は通用しないのは知っていた。
だからといって全て包み隠さず話すのも違う。
最低限の本当のことを言うしかない。



さくら「実は昨日は朝から熱もあり…意識を失った所を政宗様に助けて頂いていたのです。そのうえ、夜はあのような事件を起こしてしまい、精神的に辛かったので取り乱しておりました。見かねた政宗様が、自分の寝床には戻らない方が良いと言い、厚かましいと思いながらも政宗様のお部屋で一晩お世話になりました。」



明智様は口元に微かな笑みを浮かべた。


光秀「無粋な質問だったな。聞いているかもしれんが、政宗は明日一時、奥州に戻るそうだ。」



さくら「そうですか、なんだか城が寂しいですね。」とこれも本音だが、顔と声に本心を出さないよう呟いた。


明智様は「今後、何かあれば、お前の声はちゃんと聞いてやるし、力になるぞ」と言い残し去っていった。


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