第4章 衣香襟影
朝起きると太陽が昇った頃にまるでタイマーでもしかけてたみたいにマリアは目を覚ました。
「おはよ。」
あえて日本語で話す。けっして意地悪ではないよ、これからの生活に日本語は必須だからね。
「ちょっと出かけてくるよ。Я выйду немного」
外に出て携帯を見るときちんと動いていた。画面にマリアの位置が表示される。
距離を離れてもしっかりと動くから、安心したよ。シズちゃんに邪魔されなければもっとよかったんだけど。
やることもないし、心なしか置いてきたマリアも気になるからその日は早めに家に帰った。逃げ出しているかな?そうなったら面白いのに。
帰るとおかえりなさいと声が聞こえてさ、心底驚いたよ。
昨日の俺の服は裾をきちんとまくられていて、どこから見つけたのか分からないけど、長すぎるシャツの上に腰にリボン巻いて、おまけにそこにいたんだよ。
笑っちゃうだろ?逃げればいいものを彼女はずっとそこにいたんだから。