第9章 ハジメテ ✢R18
「……だよね。避妊のこと…ごめん。」
「お願い。今日はもう帰って。頭痛いの。
玄関にある傘、どれでも使って良いから。」
蜂楽は無言で服を着た後、部屋を出る時に、
「夢ちゃん、俺……夢ちゃんのこと、ちゃんと大切だからね。」
そう言って出て行った。
その後ろ姿すら、見ることができなかった。
部屋のドアが閉まった後、声を押し殺して泣いた。
「…………っっ!!」
蜂楽……蜂楽……
笑いかけてくれる蜂楽。
自分のこと話してくれる蜂楽。
キスしてくれる蜂楽。
私で感じてくれる蜂楽。
サッカーしてる蜂楽。
全部、全部、全部……
大好きなのに……!!
「はぁっ、はっ、はぁ……!!」
息が、ゆっくりできない。
胸が、苦しい。
頭が、痛い。
体が……寒くて、熱い。
また……過呼吸だ。
しかも雨で風邪ひいたな、絶対熱ある。
ハイになったのは、そのせいだ。
考えられるのは蜂楽のことだけ。
「はぁっ……ばち、ら……かはっ!廻ぅ……!」
涙が全然、止まらないや。
でも、本当に泣きたいのは……
廻のほうだよね?
どうやってベッドに入ったか、記憶にない。
上半身裸のまま、布団をかぶって……
勝手に眠りについてしまうまで、乱れた呼吸で泣き続けることしかできなかった。