第6章 たのしいひるやすみ【蜂楽視点】
「……あ、あれは、急に取り乱した蝶野くんを止めるため、っていうか……!」
「うん、うん♪」
「解んないよっ!なんで言ったのか……!」
「だよね♪これからゆっくり俺と一緒に考えよ?」
夢ちゃん、俺を見て?
顎クイして、強制的に俺と目を合わせる。
高2にして恋愛ドラマテク多用しすぎだわ俺♪
「だからもっかい、キスしてから考えよ♡」
さっきのキス。
夢ちゃんも嫌じゃなかったって…
俺、理解るよ…?
「夢ちゃんもすぐ……クセになっちゃうから。」
これから俺と、何万回キスするかもしれないんだよ?
今からするキスも……
そのうちの…たった一回にすぎないんだよ?
「……恥ずかしいって言ってるでしょーが。」
「んむっ。」
唇まであとちょっとの位置で、ほっぺをムギュッてされて未遂に終わった。
残念無念、また明日ってにゃ。
こーゆーところもたまんないんだ♡
ふと窓の外を見ると、サッカーして遊んでるヤツらが目に入った。
「ねーねー、夢ちゃん。いつになったらサッカーしてる俺、観に来てくれんのぉ?」
───夢ちゃんの顔が、一瞬曇った気がした。
「今度の試合来てくれたら、俺頑張っちゃう♪」
この時の夢ちゃんの作り笑顔。
久しぶりに見せたその表情の意味に…
俺はもっと早く、気付くべきだったんだ───。