第39章 番外編Ⅲ エゴイスト日和 ✢
JFUに招集されてから、廻とは音信不通になった。
元気にやってるかな。
優さんとの会話で、廻が出て来ない日は無かった。
“練習どう?”とか“ちゃんと休めてる?”とか。
何度メッセージを送ったか判らない。
何日経っても、返事は無かった。
サッカーするのが楽しすぎて、スマホ見てないんだ。
あ…もしかして、充電器を忘れたとか。
そういうことにしておいた。
そんな中、突然送られてきたこの試合のチケット。
相手は20歳以下の日本代表選手。
私なんかが容易く想像なんてできないくらい、
血の滲む努力をしてきた、雲の上の人達なわけで。
その相手に、ここまで善戦するなんて……
度肝を抜かれるなんて……聞いてない。
「いけーー!!廻ーーっ!!」
気付けば私も、大声で叫んでいた。
“青い監獄(ブルーロック)”で楽しそうにサッカーする廻は、世界一かっこいい。
私はこんなに素敵な人の恋人なんだって……
幸福感が涙になって、眼から溢れた───。
「わあああああーーーーっっ!!!!」
「きゃああああーーーーっっ!!!!」
優さんや、ラストゴールを決めた11番くんのお母さんと、抱き合って歓喜した。
“青い監獄”の勝利、チームメイトと重なり合う廻。
彼が三ヶ月間サッカーをしていた“青い監獄”の
強さが証明された瞬間だった。
ドキドキして寝付けなかった。
双眼鏡で見た、サッカーにのめり込む表情(かお)。
思い出すだけで、顔に熱が集まってくる。
「(ヤバい…。)」
“一日一顔”のクロッキー帳に……
三ヶ月ぶりに、新しい廻が追加された。