第5章 夢の続き
玄関のセンサーライトが自動で点灯して、蜂楽のウインクした顔が見えた。
さっきはやたらと静かに喋ってたから、いつもの元気な蜂楽に戻ったようでなんだか安心した。
「うん、また行こうね。本当にありがとう!」
───直後。
ライトに照らされた自分の顔に、影が差した。
蜂楽が……近い……
「ちゅ♡」
頬に、柔らかい唇が触れた感触。
私の背に合わせて、上半身を屈める蜂楽。
時間が止まったみたいに
何十秒にも感じられて……
キス、されてる───
そう解ったのは、蜂楽が私から離れた時だった。
「っっっっ!!??」
「にゃはっ!さっきのチューのお返しだよん♪」
「なっ……!?え!?だ……ええぇ!?」
「これでイーブンね♪今のはバイバイのキスってコトにして♡」
「えええっ…!?だ、だって…ごめん!!あの時は私っ、朦朧としてて…!!」
しかもなんで……!!
“ちゅ”って、口で言っちゃうのぉ……!!??
可愛すぎて、なんかもうしんどい……!!
「おやすみ♪戸締まりしっかりね。」
眼を細めてニヒルに微笑んだ蜂楽は、軽快にドリブルをしながら帰っていった。
意識を取り戻した時にしてしまったあのキスは……
一体何だったんだろう?
自分でもよく覚えていないのに、恥ずかしいことをぶり返されてしまって……
やっと落ち着いてきた心臓がまた激しく動き出す。
「(ね……寝れるかああぁぁーー!!!!)」
長い夜になりそうだ。