第36章 蜂蜜の愛
「んじゃ、俺そろそろ行くね♪」
「うん!楽しくサッカーしてきてね!」
溶け合った体を離すと、風の冷たさが体温を奪う。
周りの選手達にジロジロ見られてたことに気付いたのはこの時だ。
女子ってだけでも目立つのに、道端でこんなことして当たり前だけど。
でも、不思議と恥ずかしさは無かった。
「俺の、最初で最後のカノジョ。
夢、だぁいすき…♡」
うっとりした眼で、顔を近付けてくる蜂楽。
“キスされる”
反射的にキュッと眼を瞑った。
「ちゅ♡」
「……ん?」
唇に触れたのは唇じゃなく、横に並んだ二本の指。
唇を模したその指でされた、フェイクのキス。
「にゃっは!引っかかった引っかかった♪」
「あーもー……またやられたー。」
廻がサッカーを、全てのコトを楽しむように、
私も楽しくやってみるよ。
「キス顔アゲイン、ゴチ♡」
「……バカ。」
“……私の、恋人になってくれる?”
出逢ったあの瞬間、直感で言えた私ならできる。
───あなたが教えてくれた“楽しさ”を
私も信じて生きてみるね───。