第36章 蜂蜜の愛
「廻、キス魔…。」
「夢専用のね♪」
お互いの頬を手で包み込んだまま、身を屈めた蜂楽におでこをくっつけられる。
見落としがちな、彼のシャープなフェイスライン。
初めて触れ合ってるみたいに、ドキドキしてる。
「俺…こんなに人を好きになって、愛し合える人ができるなんて思わなかった。
人生なにが起こるか判らないモンだね。」
「……うん。」
「夢と出逢ってから、一日一日があっという間で…毎日すっげー楽しいんだ。」
「……私もだよ。」
冷たい北風が通り抜ける。
でも不思議と、体はポカポカ温かい。
「だからね俺、サッカーでも楽しいコト見つけたいんだ。夢との時間も、サッカーの時間も、もっともっと楽しくなるように。
ココで“ともだち”を探すのも、“かいぶつ”達と楽しいサッカーをするのもワクワクして…
居ても立ってもいられないんだ。」
“このままずっとひとりぼっちだったらって考えると、時々すっげー怖くなって……
死んじゃいそうなくらい、寂しくなる。”
いま廻が期待と不安の狭間にいるの、理解るよ。
新しいことをするのは、誰だって怖いよね。
“でもいつかはさ、サッカーの楽しさが理解り合える、本物の‘ともだち’が欲しいよ。”
廻が私にしてくれたように、今の私ができること。
───今度は、廻の番だよ───
ほんの少し背中を押すこと、くらいだね。