第32章 ディストラクション ✢
「……はぁっ、夢……♡」
蜂楽の顔は、すでに出来上がっていた。
猫みたいにあざとく口角を上げて、蜂蜜みたいな眼にはとろけたハートの形が浮かぶ。
「はぁ……廻っ……」
「っ、はっ、はぁ……♡」
キスを始める前にも関わらず、お互い息が上がる。
荒い呼吸の合間、舌をレロッと出す蜂楽。
この色気が……堪らない。
心臓の高鳴りがうるさすぎて、相変わらず音がうまく耳に入ってこない。
過剰に締め続けたギチギチのタガが……
ついに外れた。
「俺、夢とセックスしたい。」
ストレートにこう言われるのは、二回目だ。
これからするコトなんてとうに判りきってるのに、包み隠さず願望を言うところが蜂楽らしくて好き。
“俺、夢ちゃんとえっちしたい。”
初めて体を重ねようとした、あの雨の日。
ふたりの気分が最高潮に達した、あの瞬間が蘇る。
「……私も廻と……セックスしたい。」
なら私も……ありのままで。
ついに……本当に繋がれる時が来たんだ───。