第31章 契約破棄
「反省してんなら何か注文していけ。」
「反省してるヤツの言うコトじゃないね♪
それに言ったっしょ?コーヒーは夢が淹れた蜂蜜入りしか飲まない、って。」
「……やっぱ腹立つなこのクソガキ。おい夢。
こんなお子ちゃまオカッパ減らず口のどこがいーんだ?」
「ただれた恋愛しかしてなさそーな寂しーい独り身お兄ちゃんに、俺ら若者の純愛が解るかい。」
「まだ20代だっての。」
この間の件でふたりの仲が最悪にならなくて、
本当に安心した。
悪態をつきつつも、お互い歩み寄ろうとしてるんだ…と、私は勝手に思ってる。
「あっははっ!頑固なところ、そっくりじゃん!」
笑った私を、蜂楽とマスターは怪訝そうに見た。
その息までピッタリで、ニヤニヤが抑えられない。
「「……夢(ちゃん)のコト……」」
見計らって、ふたりが同時に喋りだす。
「アンタ先に言ってよ。」
「いや、お前が先に言えよ。」
なに、この掛け合い……クセになりそう。
「「これからも、よろしく。」」
大切な人達に恵まれて、私は幸せ者だ。