第5章 夢の続き
「わぁ……!すごい迫力……!」
「俺のママ、スゴイっしょ♪」
アトリエに案内されて、蜂楽のお母さんが描いた絵を観せてもらう。
唯一無二のタッチで描かれたその作品。
角度によって観え方が変わってくる。
表情豊かではあるけど、全体的に力強い筆遣い。
こだわりと呼ぶには弱い、作者の信念のようなものを感じる。
「夏にね、“廻物展”っていう個展を大阪でやるんだ。今はその準備の真っ只中!」
「そうなんですか。すいません…お忙しい時に突然押しかけて。」
「いいのいいの!気が済むまで観ていってね、夢ちゃん!」
「え、私の名前、なんで……?」
「廻からよく話聞いてるよ。ありがとうね!廻と仲良くしてくれて!」
ニカッと明るく笑いかけてくれる蜂楽のお母さん。
笑った顔が彼とそっくりで、裏表のなさそうな性格もしっかり息子に遺伝しているなと感じた。
「いえ…こちらこそ。廻くんには、助けてもらってばかりです。」
まだ出逢って一ヶ月だけど、蜂楽とは良い友達になれた。
なにもかも全部、蜂楽のお陰だ。
さっきだって、過呼吸になった私のそばにいて介抱してくれた。
「……私、思い出したんです。本当は、絵を描くことが好きだって。」