第31章 契約破棄
11月に入って少し経った。
あの入試の日から、私は再び蜂楽の家に置かせてもらってる。
蜂楽や優さん、マスターの優しさに支えられて、両親のことは思いのほか早く切り替えられている。
前よりも自分自身、強くなってる気がした。
蜂楽がJFUから受けた話を聞いた。
強化指定選手、合宿の招集。
選出されるだけですごい。
合宿の期間は記載がなくて、何週間か何ヶ月かも判らない。
優さんが問い合わせたらしいけど、明確な答えは返ってこなかったみたいだ。
「夢ちゃんの合格通知、早く来るといいね。」
「ネットでも配信されるみたい。もし落ちてたら…他のとこも受けるよ。」
「合格してるに決まってんじゃん♪」
「……だといいな。ありがと。」
招集日の11月20日は近付く。
蜂楽のベッドにふたりで入り、電気を消した暗い部屋で就寝前のおしゃべり。
「廻が合宿行くまでには来ると思うけど。」
「自信、あるんでしょ?」
「んー、私にしてはね。でも前も言った通り、とっても楽しかった。」
「そんじゃ、だいじょーぶだね♪」
蜂楽が合宿に行けば、しばらく逢えなくなるかもしれない。
何週間も……もしかしたら何ヶ月も。
だから毎日のこの時間は、私達にはとても大切。