第26章 いけないこと ✢
薄明かりを灯した部屋で、蜂楽の顔に落ちる影が色気を引き立てる。
「怒ってないよ。なんで?」
「……最近、“コレ”しかしないから。」
蜂楽の首筋に刻んだ噛み跡を、指でなぞった。
誰が見ても明らかな、愛のマーキング。
ただ最近は繰り返しすぎてさすがに目立つ。
私だけは、百均で買ったファンデーションで隠すようになった。
「“下”ヤッて、また生理遅れたら困るっしょ?」
「……ん。そうだけど。」
「夢が進路とか落ち着くまではセックスしないし。俺達まだ“ニセモノ”でしょ?」
「……なぁにそれ。トゲのある言い方。」
「そんじゃ夢のコト、孕ませていーの?」
「んなっ……!?」
いつもみたいに、“じょーだんだよ”って言って笑ってよ。
眼光鋭い眼でいやに意地悪く言うから、たちが悪い。
“孕ませる”……なんて。
そんな危ないコト、何ともなさそうに言わないでよ。
しっかり勃起してるくせに、触ってあげても仕掛けてこない。
私をこんなに煽って、一体どうしたの?
やっぱり何か……怒ってるじゃん───。
「夢ちゃんおはよ!朝ご飯なにかにゃ♪」
そのくせ、朝起きればケロッと無邪気に振る舞う。
アダルト蜂楽なのは、夜のベッドの中だけ。
エグすぎる寒暖差。
この頃“一日一顔”で描くのは、温かい昼の顔ばかり。