第26章 いけないこと ✢
二学期が始まって、変わったことがいくつかある。
蜂楽の部活復帰は、そのひとつ。
夏休み中は謹慎が解けても、行ったり休んだり気ままに参加していた。
それが二学期からは、本格的にチームに復帰している。
「もう蝉川(アイツ)はいない。辛くなかったら、また試合においでよ♪」
“国立”の予選が、10月から始まる。
第一志望校の入試は10月末だから、追い込みの時期ではあるけど。
「廻のサッカー観たい。行く!」
優さんにも、実技試験に向けたデッサンの練習を毎日見てもらってる。
確固たる自信はまだないけど、前より確実にレベルアップはしている。
居候して優さんの側にいさせてもらってる、最大の意義。
学校の美術の先生にも相談を始めて、多角的にプロのアドバイスを受け入れている。
もうひとつ。
バイトを始めた私は、自転車登校の申請をした。
学校がある平日は、基本的に4時から7時に設定したシフト。
部活復帰した蜂楽とは一緒に帰れなくなってしまうから、寂しい。
尾行の犯人だって、まだ判ってない。
だから4時前とはいえ、ひとりで歩くのは心細いし。