第4章 記憶
「ぬおっっ!!夢ちゃんすげぇー!!」
「いやめっちゃ詰まった!!凡フライだから今の!!」
「ホームランと凡フライは紙一重なんだよー!!ナイスバッチン♪」
数年ぶりに来たバッセン。
ブランクが長くて、全然打てなかったけど。
中学生の頃は、たまにひとりで行ったっけ。
ピッチングマシーンの規則的な投球に、自分の規則的なスイングがジャストミートした時。
ストレスが吹っ飛んでいくような快感が走ったのを覚えてる。
「あちょー!!カンフー打法っ!!」
「あはははっ!!それ蜂楽打法じゃん!!」
何も考えず、子供みたいにふたりではしゃいだ。
男子が好きそうな遊びをひとつでも知ってて良かったし…
蜂楽とは何をしても……とっても楽しい。
バッセンの後、なぜか近くの美術館に行くことになって、世界にひとつだけのデートコースになった。
そこで蜂楽が、絵を描くことが好きだと知った。
「これ…色使い、綺麗。」
「夢ちゃんは絵描くひと?」
「子供の頃ね、私も……よく描いてた記憶があるんだ。」