第24章 ラッキーカラー
生理が遅れてるって気付いたのは
“廻物展”で大阪に着いた翌日だった。
それから更に、今日までの一週間。
まだそれは、来ていない。
心当たりはある。
ちょうど一ヶ月前の、文化祭。
昼間は、膣めがけて射精された。
夜には、性器同士を擦り合わせた。
蜂楽との距離が格段に近くなって……
気が緩んでいた。
蜂楽は悪くない。
過去に苦い経験をしながら、ちゃんと気を付けない私が悪い。
“ちゃんと避妊もせずに高校生がセックスしたらダメなことくらい判るよね?”
前に蜂楽に言い放った言葉が、自分にそのまま返ってくる。
“妊娠だけは、気を付けなさいよ。”
母からの警告も、グサッと刺さる。
ちゃんと愛してくれる蜂楽の“行為”があまりにも幸福すぎて……
両親との軋轢、蝉川との肉体関係で生じた心の溝を
私はきっと、その愛で埋めようとしている。
自分が培ってきた“思想”を全部壊して
持っていなかった“発想”をぶち込んでくる蜂楽。
ロジックでは説明できない、極上の快感。
蜂楽との“行為”って、言うなればこういう感じ。
初恋に酔う高校生の戯言でしかないのは解ってる。
でも私達は、“愛し合う幸福”を共有する深い仲で
でも同時に、妊娠トラブルに留意しなければならない
ただの子供だ。