第19章 お守りみっつ
後夜祭のステージでは、マイクで好きな女子に告白している男子がグラウンドを沸かせていた。
「ひゅー♪いいねいいね!盛り上がってんね!」
蜂楽はそれを遠目で見ながら言った。
「でもウチらのほうが、ダンチでブチ上がる♪」
「? ウチら…?」
蜂楽に背中を向けていた肩を掴まれ、強制的にくるっと“回れ右”させられる。
「後夜祭ラストの締め、会長サンのごあいさつなんでしょ?」
イチゴが入った袋を、また手に取った。
「……ぁ」
「♪」
一瞬のことだった。
蜂楽が唇に加えたイチゴを……唇に移された。
冷たくて赤いイチゴが、口に入ってくる。
「……っ」
凍ったそれで、シャキッとするはずなのに……
頭も体も……逆に熱くなる。
眼を閉じて、口移しからのキスに酔う蜂楽。
向かい合った両手同士を、深く恋人繋ぎしてくる。
「……ん」
両手10本の指同士が絡み合う。
大きくて骨張った男の手からは、色気が惜しみなく伝わってくる。
唇を離して、ニヒルに笑う蜂楽が低い声で言った。
「本日のお守り。みっつめ♡」