第18章 ムカツク【蜂楽視点】 ✢
「……急にされたの、キス。」
ちゃんと俺の眼を見て話してよ、夢ちゃん。
「……私も、びっくりして……」
そんな安っぽい言い訳、戯言にしか聞こえない。
「……でも、そっちも同罪だよね?」
腹の中の黒いグチャグチャを、加速させるだけだ。
「キスしてたじゃん“あの子”と。
最近モテモテで気分いいでしょ。“蜂楽クン”?」
あー……なにこれ。
体が……熱いや。
キミは温度の無い眼で、俺を睨んでるのに。
「は?なに煽ってんの?」
夢ちゃんにこんな感情、抱くなんて……
俺、どうかしてる。
「ムカツクんだよ、夢。」
今日の俺……ゼッタイ変だよね───。
「可愛い髪型で男にコビ売ってんの?どーせいつも通り、スキだらけだったんでしょ?
だからあんな童貞ガリ勉なんぞに、唇奪われたんだよね?」
「あっ……」
夢ちゃんの髪のシリコンゴムをブチッと切る。
パチンとゴムに弾かれた指が、ひりつく。
アレンジされてた髪がパサッと広がって……
キレイな髪を一束持ってキスすると……
その香りを吸い込んだだけで、勃起が始まる。
「おそろのミサンガは“俺色の首輪”のつもりだったんだけど。
もっともっと、強く束縛されたいみたいだね。」
ああ……俺を見る怪訝なその眼、たまんない。
「お仕置きだよ、夢。
“クン付け”したらオプション追加。約束忘れた?」